近年の建物火災の件数
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平成27年 |
平成28年 |
建物火災 |
22,197件 |
20,964件 |
(うち住宅火災) |
(12,097件) |
(11,317件) |
建物火災の負傷者数 |
5,400人 |
5,022件 |
住宅火災の死者(※) |
914人 |
879人 |
(うち65歳以上) |
611人 |
612人 |
(※)放火自殺者等を除く
火災の多い季節
火災の多い季節は、一般的に気温が下がり空気が乾燥する冬から春先といわれています。特に春先は冬に比べ気温が高まり、温度の差で気流が生まれやすくなることで、風が強まることから、火災に発展する件数が増加するといわれています。
また更なる要因としては、人々の慣れが挙げられると思います。気温の低い日が続いた冬を経て春先になると、暖房機器の利用が日常化し、注意を怠ってしまうケースもあるのではないでしょうか。そういった注意の散漫や油断が火災事故に繋がるパターンは多いと思われます。
火災の原因ランキング(住宅火災)
1位・・・コンロ 2,077件 18.4%
2位・・・たばこ 1,442件 12.7%
3位・・・ストーブ 914件 8.1%
4位・・・放火 821件 7.3%
5位・・・配線機器 515件 4.6%
6位・・・電灯、電話等の配線 466件 4.1%
7位・・・放火の疑い 405件 3.6%
8位・・・電気機器 371件 3.3%
9位・・・灯火 317件 2.8%
10位・・・マッチ、ライター 211件 1.9%
(総務省消防庁 平成28年度の1~12月期の指標より)
その他特殊な事例
こたつ
こたつは安全な暖房機器だと思われがちですが、年に数十件の割合で火災事故が発生しています。暖房部分に洋服などが近づくことで発火した、コードがショートし発火した、故障のままの使用により発火した、などの事例が挙げられます。
落雷
落雷の件数は、平成18年~平成23年の7年間で報告があったもので約900件とされ、そのうち火災事故に発展する件数は年間で約10件程度とされています。ただ年ごとにバラつきが大きく、5~20件の間で推移しています。
火遊び
平成28年の火遊びに起因する火災は154件発生しています。火遊びは屋内外問わず行われ、その主体は好奇心の旺盛な子供であることが多いです。火遊びは火傷や火災などの原因となる非常に危険な行為であり、自分だけではなく周囲にも命の危険が及ぶ可能性があります。
火災に対する予防、対策
建物火災による死亡者の8割以上は住宅火災によるものです。そのため、住宅における防災対策は非常に重要なことだといえます。また、その中で65歳以上の高齢者の割合は7割近くを占めています。
上記のランキングの火災原因は、放火を除けば家庭の中の身近なものが殆どです。そのため、個人の注意や予防によって、未然に防ぐことのできる事例が数多くあります。ここでは、そのうちのいくつかの事例に分けて、簡単な予防策を説明していきます。
コンロ
コンロの上や近くから、衣類や紙類といった燃えやすいモノは離しましょう。またコンロを使っている際は、外出はもとより、そばを離れることは危険です。そばから離れる場合は火を消すことを癖付けるようにしましょう。
たばこ
たばこであれば、寝たばこによる就寝時の火災が住宅火災の大きな原因になっています。そのため、屋外や台所など、床や発火しやすいモノから離れた場所で吸うなどの工夫が必要です。また、お酒を飲んでの喫煙も危険なのでやめたほうが良いでしょう。吸殻はしっかりと水に濡らした上で、できるだけ他のゴミと分けて処理をすると安全です。また屋外ではポイ捨てをせず、火はきちんと消すことを意識しましょう。
ストーブ
ストーブのそばに燃えやすいもの(衣類など)は置かず、なるべく遠くへ離しましょう。室内の物干しのそばも、干した衣類が滑り落ちた際、ストーブに接触し、発火の恐れがあるので危険です。窓のそばは風によりカーテンがあおられ、ストーブのヒーター部からカーテンへ燃え移る可能性もあるので注意しましょう。
電気機器
アイロンやドライヤーといった熱を発する機器は、使用時以外では電源を切りましょう。また配線が原因の火災はコンセント周辺の掃除をこまめに行い、コードの混線や断線には日頃から目を向けることが大切です。タコ足配線は、埃が湿気を帯びることで漏電したり、そのタップの定格を超える通電を行うと発火してしまうなどの危険性があるため、できるだけ使わず、また機器の未使用時には、出来る限りコンセントからプラグを抜いておくと良いでしょう。また水に濡れやすいところでの機器の使用に際しては、漏電の危険性があるため、コンセントが水に濡れないよう注意を払い、万が一濡れてしまった場合には乾いた布でしっかりと水気を拭き取る必要があります。
放火
放火は外部からの故意による火災のため、予防や対策がかなり困難な事例です。直接放火を防ぐことは難しいですが、事前にできることとして、庭や玄関先などに燃えやすいものを置かないようにする、防犯カメラの設置や周辺のパトロールを増やす、犬を飼う、といった対策が考えられます。
また先にお伝えしました通り、建物火災による死亡者の多くが65歳以上の高齢者です。そのため普段より、家族や近隣の住民の方同士で助け合えるような関係を築くことも重要なことです。
火災が起きた際の法律や賠償関連
上記の予防や対策を行っていたとしても、なにかしらの不備により火災が起きてしまう可能性は0ではありません。特に放火や配線機器等は先にお伝えした通り事故を予見しづらい事例です。もし火事が発生してしまった場合、どのような法律や責任が関わってくるのでしょうか。
まず火災が起きた際には、119番の通報により、消防団が消火活動を行います。消防団は「消防法」という法律に基づき、火災の予防や火災からの国民の保護、火災または地震等の被害の軽減に尽力します。この法律に関しては直接私たちが責任を負うものではありません。
ただ自分が住んでいる住居からの出火により、隣家やその家財に損害を与えてしまった場合、失火者(過失から起こした火災の当事者)は本来、その火災につき、故意または過失が認められれば損害賠償責任を負うことになります。ただそこで関わってくるのが失火責任法です。失火責任法では、重過失(過失が重く、故意に近いもの)に該当しない場合には、失火者に賠償の責任は発生しないという旨を定めています。つまり隣家に与えた損害については、故意または重過失に当たらない限り、賠償を支払う必要は無いということになります。
これは失火者側の視点では、「火事による賠償の必要がありません」という、一見して私たちを助ける法律に聞こえます。しかし、隣家の持ち主の視点に立ってみると、もらい火による火事で損害を被ったにも関わらず、何の保障も受けることができないという状態に陥ってしまうのです。
住宅に対する備えとしての保険
上記で挙げた隣家からのもらい火や、もしものときの火災による家屋の損害に係る備えとして、皆さまが知るなかで最も身近なものが「火災保険」ではないでしょうか。
火災保険はもともと、火災という事故により生じた損害を補償する保険です。また現在では、補償範囲は火災による損害に限らず、火災と関係の深い破裂や爆発、台風などの自然災害や、家財の盗難などによる損害にも補償されるようになっています。
もしも火災により家屋や家財が燃えてしまった場合でも、家屋、家財の価値を正しく評価し、その評価額に合った適切な補償を受けられる保険に入っていれば、損害を十分に補填することができます。また、その損害に係る臨時に必要となる費用や焼け跡の整理などの費用、隣家へ被害が広がった際の近所へのお見舞金なども火災保険や特約から併せて補償されるので安心です。
人生、いつ、何が起きるか分かりません。住宅などの購入やリフォームを検討される際には今一度、住宅の価値、家財の価値を鑑み、適切な補償が受けられるよう、日頃からの備えや保険内容について考えることが必要ではないでしょうか。
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