火災保険の選び方
火災保険の特約の説明(一般物件用)
事業者用類焼損害補償特約
店舗からの火災事故で、近隣の財物に損害を出してしまった場合に対応。
賃貸建物から発生した火災または破裂・爆発により、近隣の建物、設備・什器等、家財が損害を受けた場合に類焼損害保険金を支払います。
施設・業務行為賠償責任補償特約
施設管理上の問題で人や物に損害を出してしまった。飲食店などではお客様にお料理をこぼしてしまった。店内でお客様がすべって転んでしまった等。販売店舗などでは、商品を触っていた小さなお子様がけがをしてしまった。
このような思わぬ事故が起きた場合の損害賠償を補償します。主な業種としては小売業、卸売業、飲食業、製造業、美容院等サービス業などが対象となります。
請負業者賠償責任補償特約
建設工事・土木工事、機械据付工事や清掃業務などの請負業務の遂行、またはそのために所有・使用・管理する施設や設備に起因する事故により生じる被害者の方への法律上の賠償責任を補償します。
PL法って何?
PLとはProductsLiabilityの略語で、製造物の欠陥により被害が生じた場合の被害者保護を目的とした法律です。この法律に基づく事業者の被害者への法律上の損害賠償責任を 生産物賠償責任補償特約でカバーします。事例としては、
販売したお弁当が原因で食中毒が発生した。ビルの工事完成後、外壁タイルが落下し通行人がけがをした。製造した家電が安全性を欠いていたために、家を焼失させたなど。
このような事故のお相手側の治療費や復旧費用を補償するものです。
解決まで長期化し被害額が拡大することが考えられますので万一の際は心強い特約となります。
実際にあった事故例
ある建設業者様が飲食店の水回り、内装工事を請け負う。完成引渡1ケ月後に水漏れ事故が発生、床や造作に被害が出る。水まわりの給排水管はコンクリートの床下配置のため、お店を休業し再工事が必要となる。
この事故での請求は再工事費用、お店側の休業損害、休業中の従業員給与含めかなりの額が見込まれます。損害状況把握に鑑定人が調査に入り、休業損害額算定等には被害者のご協力も必要となり、問題解決までに時間がかかることも。
保管者賠償責任補償特約(管理下財物事故の補償)
預かりした財物の保管業務中の偶然な事故(火災、破損・汚損、紛失、盗難等)によって生じる預け主の方への損害賠償責任を補償します。
ゆっくりとお食事を楽しんでもらうためにクロークでお預かりした貴重品を紛失した。
発注元から支給された資材が、管理不備で盗まれてしまった。などが考えられます。
労務災害リスク
火災保険からは直接イメージしにくい補償かも知れませんが、火災保険を含めた事業用損害保険商品に設定されている特約です。いまや労災事故の発生率は交通事故よりも高いとも言われています。これに対応する政府労災保険等の上乗せ補償や使用者賠償責任保険。特に使用者賠償責任保険のご検討は、精神障害の労災認定や長時間労働による過労死等による経営者側の責任対応として重要です。
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この記事を書いた人
久保勝裕(株式会社アイ・エフ・クリエイト 保険コンサルタント)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)