火災保険検討の際によく出てくる用語の整理です。お役立ていただけますと嬉しいです。
再調達価額
同一の構造、質、規模、型、能力の物を再築または再取得するのに必要な額をいい、「新価額」ともいいます。
時価額
新価額から現在までの経過年数に応じて消耗や経年劣化があったと考え、減価償却したその価値。
保険金額
事故が発生した際に保険会社が支払う金額の上限として、保険契約時に保険会社と保険契約者で決めた金額のこと。火災保険検討の際には、再調達価額を考慮してこの保険金額を決めていくことになります。
保険価額
その保険の被保険利益の評価額をいい、発生の恐れのある損害の最高見積額をいいます。保険金額との関係で、一部保険、超過保険などを判定する基準になります。
再調達価額(新価額)を考える
保険金額を設定するうえで、注文住宅等で建築費(請負額等)がはっきりしている場合はその金額を保険金額とします。これを年次別指数法で保険金を設定すると言います。
建築費がはっきり分からないケースでは、建物面積と保険会社が都道府県毎に設定している1㎡あたりの建築費を掛け合わせ算出し、その額をベースに一定範囲内(およそ±30%)で保険金額を設定いたします。これを新築費単価法と言います。
保険金額は自由に決められる?
新築費単価法で対象物の評価をした場合、目安となる金額の一定範囲内(およそ±30%)で自由に設定が出来ます。上限+30%で保険金額を設定すると、万一時に十分な費用確保が出来るので安心ですが、当然保険料が高くなるうえ、評価が高すぎる超過保険となり無駄になることも。
反対に、費用を抑えようと下限ラインに設定すると保険料は下がりますが、部分保険といい、損害額をカバーできない事態が生じる可能性も。保険金額は損害復旧に必要な適正額を慎重に設定する必要があります。
古い建物に保険は掛けられるか?
「うちは建ってからだいぶ経ったから、幾らもないのでは?」
物件が古いからといって、保険を掛けられない事はありませんし、経年劣化を考慮した時価ベースにしなければならない訳でもありません。当然建築年が経ちますと資産価値は下がりますが、現在の火災保険は損害前の状態に戻すことを目的とした保険です。したがいまして、再調達価額を前提にご検討頂けます。
「火事とかなったら同じものは建てないし、高い保険金額は必要ない」
本来火災保険は万一災害で財産を失ってしまった場合、同等のものを再取得するために必要な再調達価額を保険金額として掛けて頂きますが、保険金を受取った場合、必ずしも同等のものを再建築する必要はありません。今までより小さい物件にすることや構造を変更することも可能です。再築せずに別物件を購入する選択肢も。そのような意味で次に必要な額を再調達価額の範囲内でご契約頂く事は可能です。
共同住宅1戸室の保険金額
共同住宅の区分所有の場合、保険をかけるのは占有部分になります。保険金額は購入価格と異なり、占有部分を復旧させるために必要な再調達価額を保険金額とします。
区分所有の境界線はどこ?
区分所有の評価をする際に、少々ややこしい判断が必要となります。占有部分と共有部分の境界線をどこに引くかです。この境界線により占有部分の面積が変わり、再調達価額も変わってきます。境界線の引き方は2種類あります。上塗り基準と壁芯基準です。
上塗り基準とは室内部分を専有部分とする基準です。(つまり壁から奥は共有部分)
壁芯基準とは室内だけでなく、壁の中心線までを専有部分とする基準です。当然、壁芯基準は面積も広くなり、壁(コンクリート部分)を修繕の対象とするため、再調達価額は高くなり、保険料も高くなります。
どちらにするかは自由選択ではなく、そのマンションが占有部分をどう定義しているかを確認する必要があります。マンション管理規約などで確認ください。通常購入時の広告やパンフレットに記載の面積は壁芯の場合が多いようです。
家財の保険金額の決め方
所有している家財が全て失われた場合、それらをもう一度買い戻すことのできる金額が再調達価額であり必要補償額ということになります。しかし、実際に、今、家の中にある家財やこれから買い揃える家財の価格をすべて調べるのは難しく、家電類やソファー、クローゼツト等の大きな家具だけでなく、雑誌やゲームソフト、お化粧道具等々、ペン1本も家財に含みます。厳密な計算はほとんど不可能です。そこで、多くの場合は、家の広さや世帯人数・年齢などをもとに、あらかじめ保険会社が用意している目安をもとに決めていくことになります。
家財保険必要額
保険会社が目安とする家財の保険金額は、ケースにより建物より高いことも・・・。
そこまでは考えていないけど、路頭に迷うのも嫌だ。そのような場合は、次のような事を目安に決められては如何でしょう。万一の災害で家財を失ってしまった場合、生活再建上欠かせない優先順位の高い家財に対しては保険をかけておく。
つまり日常生活必需品としての衣類全般(普段着、仕事着、制服、下着類から鞄類等)、寝具類、女性でしたらお化粧道具なども。家族全員分もう一度そろえるとなると、これだけでも意外と高額です。さらに主要家電(冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ、洗濯機など)は必要となります。これだけでもご家族の事を考えますとそれなりの金額になるのではないでしょうか。
明記物件
家財の中でも、貴金属・宝石・美術品等で1個または1組の価額が30万円を超えるものや再調達が難しい稿本・設計書・図案などなどを保険の対象とする場合は、申込書に明記し、家財とは別に保険金額を設定する必要があります。
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