地震保険について
地震・噴火・津波を原因とする火災などの損害については、火災保険では地震火災費用保険金を除き保険金は支払われません。
(地震火災費用保険金は、お支払いの対象となる場合があります。)
地震等による損害については、別途地震保険を契約いただく必要があります。
地震保険の必要性
日本は、世界的に見ても地震の発生数の多さから「地震大国」と言われています。
ひとたび、大規模な地震が発生すると、多くの建築物等に損害が生じることから、地震保険は「必要保険」であるとの認識が浸透しています。
しかしながら、その世帯加入率を見てみると「34.6%」(2021年 損害保険料率機構発表)となっています。近30年でみると地震保険の加入率は上昇傾向にありますが、約1/3の世帯に留まっています。
その理由としては、「地震保険料の経済的な負担」や「過去に住まいの地域で地震は無いから」などのほか、「耐震性が高い物件に住んでいるから」といった声が上がっています。
もちろん、耐震性の優れた物件に住んでいる方の中には、地震保険は「あまり必要性を感じない」と考える方もいるかもしれませんが、地震保険の補償や「地震による倒壊」だけではなく、「地震による火災や津波、噴火」といった幅広い補償となっています。
倒壊に強い建物でも火災や津波は防げない可能性もあるため、やはり、地震保険の必要性を再考いただくことをお勧めします。
全国地震動予測地図から見る地震保険の必要性
- <確率論的地震動予測地図>
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確率論的地震動予測地図とは、現時点で考慮し得るすべての地震の位置・規模・確率に基づき、各地点がどの程度の確率でどの程度揺れるのかをまとめて計算し、その分布を示した地図群です。
「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率/期間と揺れの強さを固定して確率を示した地図」では、北海道南東部や仙台平野の一部、首都圏、東海~四国地域の太平洋側及び糸魚川-静岡構造線断層帯の周辺地域などの確率が高い。なお、2018年版に比べて、主に以下の違いがある。
- (1) 東北地方や関東地方北部の太平洋側では、東北地方太平洋沖地震後の地震活動を考慮したことによる確率の増加
- (2) 関東地方では、増幅率の計算に用いる浅部地盤構造モデルを改良したことによる確率の増減
- (3) 山梨県・静岡県・長野県東部では、南海トラフ沿いで発生する大地震の震源域について従来よりも多様性を考慮したことによる確率の減少
確率論的地震動予測地図より、確率は違えど、日本全国で震度5強以上の地震が発生する可能性があることがわかります。こういったデータを基に地震保険料が決まります。地震保険料は全国一律ではなく、「地域」や「建物の構造」によって変わります。つまり、地震保険料はその地域の地震リスクに基づき計算されています。
例えば、比較的地震リスクが高いとされている「東京都」と比較的地震リスクが低いとされている「北海道」では、木造の物件(ロ構造)の場合、地震保険料が3倍以上も差があります。
地震保険料が高いといわれている地域こそ、その発生リスクが高いといえます。多方、地震保険料が低いといわれている地域でも確率論的地震動予測地図の示す通り、地震が発生する可能性があります。
地震保険は、その地域の地震リスクから大切な財産を守る保険だと考えていただくと、地震保険の必要性も見えてくるのではないでしょうか。
地震保険に関するデータ:地震再保険支払状況
地震等 | 発生日 | マグニチュード | 支払 契約件数(件) |
支払 再保険金(百万円) |
|
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1 | 平成23年東北地方太平洋沖地震 | 2011年3月11日 | 9.0 | 826,110 | 1,289,404 |
2 | 平成28年熊本地震 | 2016年4月14日 | 7.3 | 215,642 | 390,894 |
3 | 福島県沖を震源とする地震 | 2022年3月16日 | 7.4 | 320,920 | 265,427 |
4 | 福島県沖を震源とする地震 | 2021年2月13日 | 7.3 | 245,982 | 250,905 |
5 | 大阪府北部を震源とする地震 | 2018年6月18日 | 6.1 | 159,369 | 124,831 |
6 | 平成7年兵庫県南部地震 | 1995年1月17日 | 7.3 | 65,427 | 78,346 |
7 | 平成30年北海道胆振東部地震 | 2018年9月6日 | 6.7 | 73,871 | 53,613 |
8 | 宮城県沖を震源とする地震 | 2011年4月7日 | 7.2 | 31,018 | 32,414 |
9 | 宮城県沖を震源とする地震 | 2021年3月20日 | 6.9 | 23,529 | 18,938 |
10 | 福岡県西方沖を震源とする地震 | 2005年3月20日 | 7.0 | 22,066 | 16,973 |
11 | 平成13年芸予地震 | 2001年3月24日 | 6.7 | 24,453 | 16,942 |
12 | 平成16年新潟県中越地震 | 2004年10月23日 | 6.8 | 12,610 | 14,898 |
13 | 日向灘を震源とする地震 | 2022年1月22日 | 6.6 | 19,642 | 11,863 |
14 | 千葉県北西部を震源とする地震 | 2021年10月7日 | 5.9 | 16,426 | 11,007 |
15 | 平成19年新潟県中越沖地震 | 2007年7月16日 | 6.8 | 7,873 | 8,251 |
16 | 宮城県沖を震源とする地震 | 2021年5月1日 | 6.8 | 11,028 | 8,110 |
17 | 福岡県西方沖を震源とする地震 | 2005年4月20日 | 5.8 | 11,338 | 6,430 |
18 | 平成15年十勝沖地震 | 2003年9月26日 | 8.0 | 10,553 | 5,990 |
19 | 鳥取県中部を震源とする地震 | 2016年10月21日 | 6.6 | 7,268 | 5,620 |
20 | 平成20年岩手・宮城内陸地震 | 2008年6月14日 | 7.2 | 8,276 | 5,545 |
地震保険の保険の対象
- ①居住用の建物(住居のみに使用される建物および併用住宅をいいます。)
- ②家財(居住用の建物に収容されている場合に限ります。)
■ 保険の対象とならないものの例
- ・通貨、有価証券、預貯金証書、印紙、切手
- ・自動車、バイク(総排気量125cc以下の原動機付自転車を除きます。)
- ・貴金属、宝石、美術品等で1個または1組の価額が30万円を超えるもの
- ・稿本、設計書、図案、証書、帳簿その他これらに類する物 等
地震保険のお支払いについて
地震等を直接または間接の原因とする火災、損壊、埋没または流失によって保険の対象に生じた損害が全損、大半損、小半損または 一部損(※)となった場合に保険金をお支払いします。
保険金は、実際の修理費ではなく、損害の程度(全損、大半損、小半損または一部損)に応じて地震保険の保険金額の一定割合(100%、60%、30%または5%)をお支払いします。
- (※)「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の認定について
地震保険の損害認定処理を迅速・的確・公平に行うために一般社団法人 日本損害保険協会が制定した「地震保険損害認定基準」に従って認定します (国が定める「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」とは異なります。)。
損害の程度 | 保険金をお支払いする場合 | お支払いする 保険金の額 |
|
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建 物 | 家 財 | ||
全損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(基礎、柱、壁、屋根等)の損害の額が、その建物の時価額の50%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上となった場合 | 地震等により損害を受け、損害の額が保険の対象である家財全体の時価額の80%以上となった場合 | 地震保険の保険金額 ×100% (時価額が限度) |
大半損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(上記に同じ)の損害の額が、その建物の時価額の40%以上50%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の50%以上70%未満となった場合 | 地震等により損害を受け、損害の額が保険の対象である家財全体の時価額の60%以上80%未満となった場合 | 地震保険の保険金額 ×60% (時価額の60%が限度) |
小半損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(上記に同じ)の損害の額が、その建物の時価額の20%以上40%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上50%未満となった場合 | 地震等により損害を受け、損害の額が保険の対象である家財全体の時価額の30%以上60%未満となった場合 | 地震保険の保険金額 ×30% (時価額の30%が限度) |
一部損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(上記に同じ)の損害の額が、その建物の時価額の3%以上20%未満となった場合、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水を受け、建物の損害が全損、大半損、小半損・一部損に至らない場合 | 地震等により損害を受け、損害の額が保険の対象である家財全体の時価額の10%以上30%未満となった場合 | 地震保険の保険金額 ×5% (時価額の5%が限度) |
- 損害の程度が一部損に至らない場合は補償されません。
- 損害の程度が全損と認定された場合には、地震保険の補償はその損害が発生した時に遡(さかのぼ)って終了しますので、終了後に発生した地震等による損害は補償されません。
- 門、塀、垣、エレベーターまたは給排水設備のみの損害など、主要構造部に該当しない部分のみの損害は補償されません。
- 損害保険会社全社で算出された1回の地震等による保険金総額が12兆円を超える場合、お支払いする保険金は、算出された保険金総額に対する12兆円の割合によって削減されることがあります(2022年10月現在)。
- 72時間以内に発生した2回以上の地震等は、これらを一括して1回の地震等とみなします。
地震保険の割引制度について
保険の対象である建物または保険の対象である家財を収容する建物(以下「対象建物」といいます。)が下表①~④のいずれかに該当し、 確認資料(注1)をご提出いただいた場合、地震保険の保険料に割引を適用します(注2)(注3)。
- 確認資料とは、下表の「確認資料」に記載の書類またはいずれかの割引の適用が確認できる保険証券等(写)をいいます。
- 下記①~④の条件を複数満たす場合であっても、割引はいずれか1つのみの適用となります。
- この割引は、保険期間のうち確認資料をご提出いただいた日以降の期間について適用されます。
下記は代表例なので、詳細は取扱代理店または引受保険会社までご照会ください。
割引の種類 | 割引率 | 条 件 | 確認資料 |
---|---|---|---|
①免震建築物 割引 |
50% | 対象建物が「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)に規定された免震建築物である場合 |
など |
②耐震等級 割引 |
耐震等級3 耐震等級2 耐震等級1 |
対象建物が品確法または「耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針」(評価指針)に定められた耐震等級を有している場合 |
など |
③耐震診断 割引 |
10% | 対象建物が地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、1981年6月1日に施行された改正建築基準法における耐震基準を満たす場合 | 以下のいずれか ●耐震診断または耐震改修の結果により減税措置の適用を受けるための証明書(写) ●建物の所在地、耐震診断年月日および「平成18年国土交通省告示第185号(平成25年国土交通省告示第1061号を含みます。)に適合している」旨の文言が記載された書類(写) |
④建築年 割引 |
10% | 対象建物が1981年6月1日以降に新築された建物である場合 | 以下のいずれか(1981年6月以降の新築であることが確認できる資料が対象となります。) ●「建物登記簿謄本」(写)、「建物登記済権利証」(写)、「建築確認書」(写)等の対象建物の新築年月等が確認できる公的機関等(国、地方公共団体、地方住宅供給公社、指定確認検査機関など)が発行する書類(写)および公的機関等に対して届け出た書類(写)(公的機関等の受領印または処理印が確認できるものに限ります。) ●宅地建物取引業者が交付する重要事項説明書(写) ※2019年1月以降始期契約から、宅地建物取引業者が交付する不動産売買契約書(写)、賃貸住宅契約書(写)、および登記申請にあたり登記所に提出する工事完了引渡証明書等または建物引渡証明書(写)も確認資料として対象となります。 |
地震保険料控除制度
個人契約の場合、払込みいただく地震保険料が地震保険料控除の対象となり、所得税については最高50,000円まで、住民税については最高25,000円まで毎年の課税対象額から控除されます(2007年1月改正)
- ※地震保険料控除は保険料を実際に払込みいただいた年に行われます(口座振替の場合、「実際に払込みいただいた年」は、振替日の属する年となり ます。)。なお、始期日より前に払込みいただいた保険料は、実際の払込日ではなく、始期日に払込みいただいたものとして取り扱われます。
- ※2年以上の契約で保険料を一括して払込みいただいた場合、一括払保険料を保険期間(年数)で割った保険料を毎年払込みいただいたものとして取り扱われます。